Hank Jones / ハンク・ジョーンズ

Hank Jones / ハンク・ジョーンズ
Biography

ヘンリー・”ハンク”・ジョーンズ(Henry “Hank” Jones、1918年7月31日 – 2010年5月16日)は、アメリカ人のジャズピアニスト、バンドリーダー、および作曲家。1989年 NEA Jazz Master、2008年アメリカ国民芸術勲章授与。
ハンク・ジョーンズは、彼自身の名義で60個以上のアルバムに録音しており、ゲストとして600枚を超えるレコード・CDに録音した。評論家とミュージシャンは、ジョーンズが雄弁で、リリカルで、非の打ちどころがないと述べている。演奏スタイルはスイングに留まらず独自の成長を続け、特に、彼から生み出される個性的な美しいハーモニーとソロ、優しく、時に力強い繊細なタッチは評価が高い。

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Hank Jones / ハンク・ジョーンズの経歴

ヘンリー・”ハンク”・ジョーンズはミシシッピ州ビックスバーグで生まれて、ミシガン州ポンティアックに移った。そこで、バプティスト助祭であり材木検査官であった彼の父親は、3階建てのレンガ造りの家を買った。 ハンクは、10人の子供のひとりであり、音楽一家で育てられた。彼の母親は歌手であり、彼の2人の姉がピアノを習っていた。そして、彼の2人の弟サド・ジョーンズ(トランペッター)およびエルビン・ジョーンズ(ドラマー)も、世界的に有名なジャズミュージシャンとなっている。

1944年に、ハンクはラッキー・トンプソンに出会い、彼からはニューヨークのオニキス・クラブでホット・リップス・ページと働かないかと誘われた。
ニューヨークでは、ハンクは、定期的に一流のバップミュージシャンの演奏を聞いて、新たなスタイルを習得に至る刺激を受けた。この頃のハンクは猛練習を平行する中、ジョン・カービー、ハワード・マギー、コールマン・ホーキンス、アンディ・カーク、およびビリー・エクスタイン、スタン・ゲッツ等と働き、それらの一部は、LPとして録音された。また、親友レイ・ブラウンとは、この当時から50年以上、膨大なセッションを行い、多くのLPで共演してゆく事となる。

1947年には、初のリーダーアルバム「Urbanity」を録音。またノーマン・グランツのジャズ・アット・ザ・フィルハーモニック(JATP)としてツアーを始めた。1948年から1953年まで、ハンクはエラ・フィッツジェラルドの伴奏者であった。そして、1948年の秋にイギリスで彼女の伴奏していて、並はずれたテイストと洗練されたハーモニーの能力を発展させた。

この期間、ハンクはまたチャーリー・パーカーと共にいくつかの歴史的に重要な録音をした。その中には「Now’s the Time」に納められた”The Song Is You”も含まれている。この曲は、ベースのテディ・コティック、ドラムのマックス・ローチ等と共に1952年12月に録音されている。

また、ハンクとチャーリーパーカーとの共演は、ジャズ映像史上最大の発見とも言われる「インプロヴィゼーション」(DVD映像)にも残されている。この映像には、レスター・ヤング、コールマン・ホーキンス、エラ・フィッツジェラルドなどスターの多くが集まっている。

1955年以降ますますハンクの信頼は増し、人気ピアニストとして、ポール・チェンバース、レスター・ヤング、ヘレン・メリル、ミルト・ジャクソン、フランク・ウエス他多くのスタープレイヤーとの録音もなされている。

親日派で知られるハンクだが、初来日は1957年、ベニー・グッドマン楽団のピアニストとして来日。

1958年には、Jazzの歴史的名盤、「Somethin’ Else」でキャノンボール・アダレイ、マイルス・デイヴィス、アート・ブレイキーらと共演。

1959年から1975年は、ハンクは録音活動を続ける一方、CBSスタジオのスタッフピアニストだった。この時代にはエド・サリヴァン・ショーでフランク・シナトラ、クリス・コナー、ウェス・モンゴメリー、ビリー・ホリデー、ズート・シムズ、1960年注目を集めたA Portrait Of Duke Ellingtonでのディジー・ガレスピーとの共演も含まれ、引き続き多くの録音をし、TV出演する事もあった。

1962年5月19日、ジョン・F・ケネディ大統領の誕生パーティで、マリリン・モンローが歌った有名な「ハッピー・バースデイ」のピアニストもハンクであり、マリリン・モンローとは、LPでも共演している。

1970年代後半と1980年代の間も、ハンクは、実り多くレコーディングし続けていた。代表作の一つでCBS後、より新しいスタイルを確立し脚光を浴びた1975年のアルバム「Hanky Panky」(LP&CD)や、1979年の来日でシェリー・マンらと鹿児島に来日した際のライブ録音「Live in Japan」、東京で録音されたCD「Satin Doll Hank Jones solo&trio(LOB)」や、「Portions」(LP)、では、トリオとして当時を代表される演奏を残し、スピードと繊細さを兼ねた演奏も聴く事が出来る。またハンクを敬愛する作曲家・ピアニスト、ジョン・ルイスとの共演「An Evening With Two Grand Pianos(CD)」もこの期間に含まれ、トミー・フラナガンとの共演「Our Delights(CD)」ではJazz界のピアノデュオとして最高峰との評価が高い。

そしてこの期間には、最も有名なグレート・ジャズ・トリオとして活動している。このグループは、1976年にこの名前を採用したが、それまでには既にジョーンズはオリジナルメンバーであるロン・カーターとトニー・ウィリアムスとヴィレッジ・ヴァンガードで演奏し始めていた。1980年までには、ジョーンズのサイドマンはエディ・ゴメスとアル・フォスターであり、1982年に、ジミー・コブがフォスターの後任になった。トリオはアート・ファーマーやベニー・ゴルソンやナンシー・ウィルソン等とも録音した。

ジョーンズは、1980年代前半にソロのピアニストとしてカフェ・ジーグフェルドで過ごし、日本でツァーを行った。日本のツァーではジョージ・デュヴィヴィエとソニー・スティット他と演奏し多くの録音した。

1988年からは、スタンダードに限定した「Great Standards」シリーズを録音、5枚のCDが完成させた。元々スタンダードを愛し1000曲以上記憶していたというハンクであったが、この頃から、Mr.スタンダードとも呼ばれるようになってゆく。

また、作曲家としてのハンクにも注目すべきであろう。自己主張の少ないジョーンズが自作品を演奏する事は少ないが、”Interface”、”Duplex”などキャッチーな作品のほか、”Minor Contention”(アルバム「Hanky Panky」に収録)、”Ah, Oui”、”Hank’s Blues”など、様々な作風を見せる。ハンクは自作品に限らず作曲家のメロディを大変大切にすることでも知られる。

2002年には、こういった作曲家としてのハンク・ジョーンズに注目した作品「Sublime: Honoring the Music of Hank Jones」が発売。ハンクを尊敬するチック・コリアらがジョーンズの作曲作品を演奏した。

その後も全世界で多くの演奏と録音を続け、2006年東京Jazzでは渡辺貞夫、チック・コリアと共演。

2008年にはホワイトハウスにて、ブッシュ大統領よりアメリカ国民芸術勲章を授与される。

2009年グラミー賞”Lifetime Achievement Award”も受賞。

2010年4月に体調を崩し緊急入院、闘病の末亡くなった。

ハンク・ジョーンズのアルバム

※年号は主に演奏した年

1944 HOT and COZY
1946 Opus De Bop
1946 Night Music
1947 Urbanity (Clef)
1948 Cool Riff
1949 Jazz at the Philharmonic
1949 Collates
1949 Flip Phillips
1949 A Studio Chronicle 1940-1948
1950 Hank Jones Piano (Mercury)
1950 Pres/Lester Young Quartet
1950 Enchanting Ella Fitzgerald: Live at Birdland
1952 Now’s the Time
1953 Stan Getz special vol.2
1954 Rare Recordings 1948-1962
1955 Presenting “Cannonball”
1955 With Strings
1955 That´s Nat
1955 the Trio (Savoy MG)
1955 Bluebird
1955 Hank Jones Quartet(Savoy MG)
1956 Hank Jones Piano Solo
1956 The New York Rhythm Section Of Hank Jones
1956 Trio
1956 Jackson’s Ville
1956 Dream Of You
1956 Wilder ‘n’ Wilder
1956 The Jazz Skyline
1956 Have You Met Hank Jones
1956 Introducing Lee Morgan
1957 Bass On Top
1957 New Trombone
1958 The Talented Touch
1958 Somethin’ Else
1958 Portrait Of Art Farmer
1958 Porgy & Bess
1959 Opus De Blues
1959 Bags & Trane
1960 A Portrait Of Duke Ellington
1961 So Much Guitar!
1961 We Free Kings
1962 Elvin!
1962 Asia Minor
1962 Strings By Candlelight
1963 Here’s Love
1964 Lucky Strikes
1964 This is Ragtime Now!
1965 Bakers Holiday
1966 Happenings
1966 The Total
1967 Johnny Smith
1967 The art of performing
1968 Road Song
1969 But Beautifu
1969 1969 All-Star White House Tributel
1970 Just a-sittin’ and a-rockin’
1971 Flute in
1972 TANGERINE
1973 Zoot At Ease
1974 Strike up the band
1975 Hanky Panky (Inner City)
1976 Hank (Hank Jones Solo Piano) (Jazz Alliance)
1976 Love For Sale
1976 Arigato
1976 I’m Old Fashioned
1977 ‘Bop Redux
1977 Kjlh
1977 I Remember You (Black & Blue)
1977 Just for Fun (Galaxy)
1977 Portions
1977 At The Village Vanguard Again
1977 Direct FromL.A.
1977 Hello Like Before
1977 Just For Fun
1977 Rockin’ in Rhythm
1978 Our Delights (Galaxy)
1978 Ain’t Misbehavin’ (Galaxy)
1978 Groovin’ High (Muse)
1978 The Great Tokyo Meeting
1978 Compassion
1978 Tiptoe Tapdance
1979 Live In Japan
1979 Satin Doll Hank Jones solo&trio(LOB)
1979 The Definitive Black & Blue Sessions
1980 Chapter Two
1980 Re-VISITED
1980 The Incredible Hank Jones Meets Bellson & Ira Sullivan
1980 Re Visited vol.2
1980 MoreOver
1981 Emily Remler Firefly
1982 Threesome
1983 I’m All Smiles
1984 Hangin’ Out
1984 Monks’ Moods
1985 Great Jazz Quartet Live In Japan
1986 I’ll Get By
1987 Trumpet Workshop
1987 Duo
1988 Great Standards Vol.1~5
1988 The Spirit of 176
1989 Homage To Charlie Parker “Paris All Stars”
1989 The Oracle
1989 Desert Lady
1990 The Essence
1990 Live At The Village Vanguard
1991 Live At Maybeck Recital Hall Volume Sixteen
1991 Flowers for Lady Day
1991 Jazzpar 91
1991 It’s Been A Long , Long Time
1992 Handful Of Keys
1992 よさこいJazz
1993 Moods Unlimited
1993 Upon Reflection
1994 Steal Away: Spirituals, Hymns & Folk Songs
1994 Satolism
1996 Fav ors
1996 From Within
1998 What’s New
1999 Hideaki Kanazawa with Hank Jones “Happy talk”
1999 My Impetuous Heart
2002 Collaboration (Eighty-Eight’s)
2003 Hank & Frank、Hank And Frank II (LINEAGE RECORDS)
2003 Well, Here It Is
2004 For My Father
2004 ‘S Wonderful(Eighty-Eight’s)
2004 Collaboration(Eighty-Eight’s)
2004 Joyous Encounter
2005 Speak Low (Eighty-Eight’s)
2005 Music Of Thad Jones
2005 My Funny Valentine (Eighty-Eight’s)
2006 Stella by Starlight (Eighty-Eight’s)
2006 West Of 5th
2006 Lush Life
2006 Kids Duet’s Live At Dizzy’s Club Coca-Cola
2007 July 5th : Live at Birdland New York (Eighty-Eight’s)
2007 July 6th : Live at Birdland New York (Eighty-Eight’s)
2007 Billy Strayhorn: Lush Life
2008 Blue Minor (Eighty-Eight’s)
2008 Our Delight
2008 Pleased To Meet You(Justin Time)
2008 One For Three – The Jones Suite
2009 Jam at BASIE featuring Hank Jones<クリスタルディスク特別盤>
2009 You are there (Victor Entertainment)
2010 Last Recording (Eighty-Eight’s)
他多数